「の」に甘えるな!
「の」はとても便利な助詞です。便利であるがゆえに、ふと気づくと一文に何度も「の」を使ってしまいがちです。「の」が連続する文章は読みづらく、正確な意味も伝わりにくいので注意しましょう。
目安としては、「の」は一文に2つまで。3連続で「の」が登場したら、どこかを別の助詞に変えるか、別の表現に置き換えるといいですね。
便利な「の」に甘えてしまった文章がこちらです。
例文
昨日の私の報告書の中に、上海の工場から提案のあった新商品の案をまとめてあります
ちょっと大げさに作った例文ですが、合計6つの「の」があります。声に出して読んでみると違和感がありますが、書いている最中にその違和感に気づくのは難しいかもしれません。また、一文をできるだけ短くしようとして「の」を使い、結果的に意味が伝わりにくくなってしまうこともあります。
便利な助詞「の」に甘えずに文章を書くことで、こんなメリットがあります。
- 読みやすい文章になる
- 文章の意味がクリアになる
- 逆に一文が短くなることもある
助詞「の」がもつ機能一覧
「の」を多用してしまうのは、「の」が複数の機能をもつからです。「の」がもつ機能一覧をまとめました。
(➡➡➡スクロール)
機能 | 例文 | 見分け方 | |
主格(部分の主語) | 海の見える公園でピクニックをしよう。 コスモスの咲く頃に会いしましょう。 | 「が」に置き換えられる 体言+の+用言 | |
連体修飾格 | 種類・状態・性質の指定 | 金の延べ棒が積み上げられていた。 担当の鈴木さんに会いに行きます。 | 「~である」に置き換えられる |
用途・材料の指定 | 味噌汁のお椀をとってください。 豚肉の料理が得意です。 | 「~に使う」「~でできた」の意味。省略できる(味噌汁椀、豚肉料理 など) | |
所有・所属の指定 | 私の報告書をご覧ください。 鈴木さんの担当は私です。 | 「私が書いた報告書」「鈴木さんにつく担当」のように、続く名詞を修飾するにかかる名詞修飾節に置き換えられる | |
動作・状態の主体・対象を指定 | 母の帰りを待っているのです。 これから英語の勉強をします。 | 主語+が/を+動詞に言い換えられる ・母が帰ってくるのを~ ・これから英語を勉強します | |
時・場所の指定 | 明日の授業は面白そうだ。 駅前のカフェに行きたい。 | 時は「~に行われる」場所は「~にある」などに置き換えられる | |
体言の代用 (準体格) | そのコップは僕のです。 | 「のもの」に置き換えられる | |
同格 | パグの黒いやつが好きだ。 | 前後がイコール。「で」「のうち」「かつ」に置き換えられる |
昨日の →時の指定
私の報告書の中 →所有・所属の指定
上海の工場 →場所の指定
提案のあった →主格(「が」に置き換えられる)
新商品の案 →種類の指定
例文の改善案
昨日、私が提出した報告書に、上海にある工場から提案された新商品に関する案をまとめてあります
所有・所属を意味する場合は、「~における」「~がもつ」などに言い換えられる。この例文では、安易に「の」を使わずに、「~が提出した」というように主語+が+動詞を使ってあえて丁寧に書いた。
場所を意味する場合は「~にある」などに言い換えられる。この例文の場合は、「上海工場」と省略することもできるだろう。
対象を意味する場合は、「~についての」「~に関する」などが使える。
このように、「の」が連続してしまったら、ほかの表現に置き換えるか省略することで解消しよう。
コメント